国民生活に根ざした論議を   ─軽減税率の導入に思う─

もう10年以上前のこと、うちの奥さんと旅行中、パリーでは僅か20日程アパルトマン生活を経験してみた。朝はパン屋でバケットを買い生ハムや野菜なども買い揃え、ゆっくり朝食を食べながらその日の観光や買い物ルートを決める日々であった。

これらの生活工程の中で兎に角驚いたのはバケットや生鮮、加工食品、ワインなど生活必需品の安さであり対照的にそれなりの衣類や電気製品など加工製品がやたらと高いことであった。この原因は品目ごとの税金の違いにあると分かり帰国後それなりに調べてみて初めて軽減税率の導入が他の税金との兼ね合いの中で生活に根ざした重要な意味を持つことを理解した。

この度我が国でこの軽減税率論争が繰り広げられ漸く導入の目処がついたが、本質論議は殆どなく対象品目を広げることによる減収財源の問題などに終始し、政権与党公明党と自民党との貸し借りを残し決着をみている。計らずも自民党幹部の言「この公明党への大きな貸しは憲法改正で返して貰わなければ……」。これはまさの鬼子の誕生であり国民不在の何物でもない。

 

本質議論に入ろう。欧州ではEU理事会が加盟各国に対し共通税制として軽減税率を義務づけている。下限税率は15%とし上限の規定はなく生活に根ざした特定の商品、サービスなど各国フリーとしているが、食品、水道水、医薬品、福祉障害者器具、新聞、書籍、運賃、文化芸術鑑賞券など様々である。上限は北欧諸国が20%超と比較的高い。またEU発足前から導入していたフランス、ドイツ、英国などは下限税率5%程度と実績適用を認められている。

最後にフランスでは高額の所得収入や総資産をもつ富裕層には段階に分けて富裕税を課しており、大企業からは法人税に加えて社会保障負担金を徴収している。

この軽減税率は富裕層へのメリットが大きいと指摘されているが、本来この税の導入は所得、資産の大きい富裕層への新税など何らかの対応策をあわせて実現させることにより初めて生きるわけでここから軽減分のファンドも生まれてくる。

今、格差拡大ストップの諸施策が不可欠な我が国にとって先発諸国の本税導入の歴史と実態をこれから研究していく必要があることを強調したい。           以 上

 

越中幸夫

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