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元気高齢者(熟年)づくり:江戸川区から学ぶ〈地域社会の少子高齢社会対応〉

1.     はじめに

 少子高齢化が社会の大きな課題となって久しい。また子育て・介護・医療は地域自治体の事業とされているが、自治体の行政権限は極めて限定された範囲でしかない。その状況下で、いかにして子どもを生み育てやすい地域環境を創り出すか、そして安心・充実した高齢期を過ごせる地域社会をどのように構築できるのか、日本中の地域社会(地域自治体)が取り組むテーマである。
 このような取り組みの中、地域社会環境として様々な分野で注目されているのが江戸川区である。かつて「東京の文化果つるところ」と言われたこの地域が、今では「住みたい所」として羨まれる街になっている。そこには、半世紀以上にわたって社会環境づくりに取り組んできた、行政と区民の協働があった。江戸川区と言えば「福祉の江戸川」として、高齢者介護や保育ママなどの施策は地域社会のモデルとして著名であるが、本レポートでは、今日我が国社会が求めている元気高齢者や生活環境づくりに焦点を置いて江戸川区で取材してみた。 

2.     データから見る江戸川区の特徴・位置づけ

 まず様々なデータから、東京都及び23区の中で江戸川区がどのような位置づけにあり、どのような特徴を持っているのかを見てみたい。

①  若い地域

東京都の統計ホームページに掲載されているデータを必要に応じて加工しながら以下にまとめたが、総じて言えば江戸川区の人口構造が、都全体や23区平均と比較して若いことがわかる。例えば年少人口(0~14歳)比率は江戸川区で14.8%(2009年1月)となっており、これは都平均の11.8%、23区平均の11.2%よりも大幅に高く、23区内の第1位である。また2008年の合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子どもの数の平均)をみると、東京都平均の1.09や23区平均の1.04に対し、江戸川区では1.38となっており、かつて「江戸川区の不思議」と新聞論評されたように、23区内で最も高い。
 他方、高齢者の人口を見ると、江戸川区の老年人口(65歳以上)比率は17.7%(2009年1月)で、都や23区の平均(ともに19.9%)よりも著しく低い数値である。さらに江戸川区の場合、老年人口も総体的に若いことが特徴であり、65~74歳人口の割合は23区で10位なのに対し、75歳以上人口の割合は23区で最下位となっている。また老年人口に占める65~74歳の割合は61.8%であり、これは23区で1位である。高齢者自身が若いことも影響してか、第1号被保険者のうち要介護認定を受けている人や居宅介護及び施設介護サービス利用率も、23区で最も低い(2007年1月データ)結果となっている。

②  住み続けたい地域

 江戸川区の住民は、東京都民全体と比較して、今の地域に住み続けたいと願っている比率が高いというデータも示されている。2008年に江戸川区が行った世論調査(江戸川区、2008)によると、「あなたは今後も江戸川区に住み続けたいと思いますか」という質問に対し、「住み続けたい」あるいは「できれば住み続けたい」の回答合計(=永住意向)は76.6%となっており、「区外へ移るつもり」と「できれば区外へ移りたい」の合計(=転出意向)は、調査開始以来最も低い5.1%であった。他方、同年に東京都が行った世論調査(東京都生活文化スポーツ局、2008)では、「この地域に今後もずっと住みたいか」という質問に対して「住みたい」という回答が71.7%、「住みたくない」が10.5%という結果である。
 また以下の表に示したように、年齢層によって永住意向が異なっている。江戸川区民のうち、特に20代の男女や50-60代女性、60歳以上男性の永住意向が、全東京都で見ると著しく高いことがわかる。

永住意向(今の地域に今後も住みたい)の年齢・性別割合(2008年)

 

男性

女性

 

東京都

江戸川区

東京都

江戸川区

 20代

54.4%

63.3%

52.8%

60.2%

 30代

67.2%

73.9%

68.4%

69.3%

 40代

71.9%

75.4%

72.8%

70.8%

 50代

73.6%

73.2%

73.1%

82.9%

 60代

72.8%

86.7%

76.1%

89.6%

 70歳以上

82.1%

90.5%

85.9%

85.5%

③  インド人も多い地域

 江戸川区には、経済観念が非常に高いと言われるインド人が多く住んでいる。東京都の統計ホームページによると、その数は2,355人(2009年10月1日現在)であり、23区に住むインド人8,802人の4分の1以上が江戸川区に住んでいる。また子どもの増加に伴い、江戸川区には2006年にインド人学校も設立されている。 

3.     江戸川区の高齢者(熟年者)施策:元気高齢者づくりに向けて

 上記データから、江戸川区では若年層が多く出生率も高く、永住意向としては乳幼児のケアを必要とする20代やシニア世代の永住意向が高いことが示された。このような特性に貢献していると考えられるのは、江戸川区の様々な保育や熟年施策である。江戸川区政50年史(江戸川区、2001)によると、区は1960年代から、熟年福祉や児童福祉など様々な面できめの細かい福祉施策を展開し、「福祉の江戸川」と呼ばれるようになり、地域社会も子どもから熟年者まであらゆる世代で形成されていることを理想としている。本レポートでは、シニア世代で特に永住意向が高い江戸川区の熟年者福祉に焦点を当てることとした。
 まず江戸川区がどのように高齢者を捉えているかという姿勢は、高齢者の呼び名「熟年」に特徴づけられる。江戸川区政50年史(江戸川区、2001)によると、江戸川区は高齢者を地域の中で積極的な役割を担う存在ととらえ、施策を展開している。その一端として、区では高齢者を「老人」と呼ばず「熟年者」と呼ぶ。これは、円熟した人格と熟慮できる知恵、熟達した技量を持った人、という意味で、熟年者が永年の努力で今日の日本の繁栄を築いた社会の尊い財産であるとの考えに基づくものとしている。
このような高齢者への姿勢を持ちながら、江戸川区では健康な高齢者からケアを必要とする高齢者まで、幅広い施策を展開している。支援や介護が必要な熟年者に対するサービスでは、例えば介護保険サービスに加えて権利擁護事業・重度要介護者や家族介護者への支援・紙おむつ等介護用品の支給・緊急通報システム・ふれあい訪問員・寝具乾燥サービス・配食サービスなど、多様な施策が挙げられる(江戸川区福祉部、2009)。さらに江戸川区の特徴としては、高齢弱者への福祉とともに、元気高齢者の就労・社会貢献活動や、生きがい・交流の場、そして介護予防や健康維持の取り組みが盛んに行われているという点が挙げられる。江戸川区の様々な資料(例:江戸川区ホームページ;江戸川区、2001;江戸川区、2009;江戸川区福祉部、2009)や区職員の方々のインタビューなどから、それらの施策を以下にまとめた。

①  働く・貢献する機会づくり

10001熟年者の就労の機会作りとして、まず多くの人々の脳裏に浮かぶのは、シルバー人材センターであろう。これは定年退職者などの高年齢者に、そのライフスタイルに合わせた「臨時的かつ短期的又はその他の軽易な就業」を提供するとともに、ボランティア活動など様々な社会参加を通じて、高年齢者の健康で生きがいのある生活の実現と、地域社会の福祉向上と活性化に貢献するものである(全国シルバー人材センター事業協会ホームページより抜粋)。同協会ホームページによると、2008年度は全国で1,329のセンター及び76.4万人の会員を有するが、この事業を1975年に全国で初めて立ち上げたのは、江戸川区である。その前年の1974年に東京都が「東京都高齢者事業団」を設立し、そのモデルケースとして江戸川区が全国のトップを切った。発足当初は「江戸川区高齢者事業団」という名称であったが、現在は「江戸川区熟年人材センター」の愛称で親しまれている。主な活動としては、サービス(家事手伝い・区報や団報の配布など)・管理(施設・学校・駐車場・駐輪場など)・軽作業(公園清掃・除草・梱包など)・外交や折衝(接客・配達など)・事務(一般事務・宛名書きなど)・技術(襖や障子の張替えなど)が挙げられる(江戸川区熟年人材センターホームページより要約)。この他、独自事業として自転車のリサイクル事業も行っており、これは放置自転車を修理して再生自転車として販売店に卸すもので、環境への取り組みとしても有意義と思われる。センターでは技術講習も行っており、例えば植木の剪定をセンターの講習で学び、今では自身が講師を務めるまでになった会員もいる。会員からは「気持ちが若返る」「1日のリズムができる」「何かの役に立てる」など、働くことを通じた熟年者自らの元気づくりに喜びの声が挙がっている。2009年4月現在における江戸川区熟年人材センターの会員は3,745人で、2008年度の契約金額は、約11億7,300万円にのぼる。区としては2009年度の予算として約2億円計上している。
 また江戸川区で2001年より開始した「私のまちの知恵袋」は、熟年文化人材ボランティア事業である。60歳以上が登録でき、利用希望団体からの申請により熟年者のボランティアを派遣する。例えば小学校の放課後事業で将棋や竹とんぼなどを教える人もおり、世代間交流にも貢献している。
 さらに2009年より開始した「熟年介護サポーター事業」は、熟年者がサポーター活動を通して地域貢献することにより自らの介護予防を図り、介護等を必要とする熟年者の福祉向上を目的としている。サポーターとなる対象は、65歳以上で要介護認定を受けていない区民である。区の実施する研修を受講して登録された介護サポーターが、地域包括支援センターや登録された介護保険施設等で、介護予防教室の補助や施設入居者の話し相手など指定された活動を行った実績を、活動ポイントとして蓄積する。1時間あたり1ポイント(100円換算)がサポーターに付与(年間60ポイントが上限)され、ポイントを年度ごとに活動交付金として介護サポーターに支給する。

②  学習・生きがい・交流の機会・場づくり

江戸川区では、古くから生きがいづくりや学習の機会を熟年者に提供しているが、その中で最も長い歴史を持つのが「くすのきクラブ」(1958年~)である。これは地域社会の中で、相互の交流促進を図るために自主的に結成された60歳以上の会員組織であり、ボランティア・教養・レクリエーション・健康増進活動を実施している。2009年4月現在、207クラブが活動している。
また「くすのきカルチャー教室(創設当初は「生きがいセンター」)」は、全国に先駆けて1977年に創設した熟年者(60歳以上対象)の生涯学習の場であり、単独施設6箇所で大規模に展開しているのは、全国でも珍しい。学習の内容は、音楽(民謡・大正琴・コーラスなど)・押し花や生け花・習字(書道・ペン習字)・外国語(英会話・中国語)・茶道・美術(絵画・七宝焼・版画など)・フラダンスといったように多彩である。1990年に東部くすのきカルチャーセンターが小学校内に併設されたことで、熟年者が学校行事に招待されたり、児童がカルチャー教室を見学するなどの多世代交流が行われ、熟年者と児童の交流の輪が近隣の学校にも広がっている。2008年度の受講者数は、正規教室が2,475人、正規教室修了後に開催される自主教室が6,201人であった。2009年度には区の予算として約3.1億円が計上されている。
10002  江戸川区独自の事業として挙げられるのは、1980年より始まった「リズム運動」である。これは60歳以上の区民を対象に行っている、社交ダンス(マンボ・ルンバ・ワルツなど)をベースとした軽運動であり、週1回2時間でリズム運動指導員を派遣している。運動能力の改善が顕著にみられ、介護予防に寄与しているとも言われているほか、仲間づくりの機会としても貢献している。年に2回、区全体で行われるリズム運動の大会には、2,000人以上が参加する。2008年度当初のリズム運動参加数は10,256人であり、現在区内約200会場で約240団体が参加している。江戸川区で2009年度に計上された予算額は、約1.3億円である。
また、2001年に「長寿入浴券」と「施設入浴券」に代わって創設された「健康長寿協力湯制度」では、浴場への補助などは江戸川区が最大規模を誇る。これは熟年者の健康増進と、公衆浴場を利用して地域交流を図ることを目的としている。区が浴場組合と委託契約を行って実施し、65歳以上が対象となっている。入浴証を提示し、1回220円支払うことで、年間何回でも入浴できる。2007年の延べ利用回数は120万件を超え、2001~2007年度の入浴証延べ交付人数は約4.3万人である。2009年度における区の予算額は、2.3億円である。
上記のほかにも、熟年者(60歳以上)の趣味活動や入浴等を通じた交流・健康相談・講座等を実施している「くつろぎの家」(1967年創設)や、閉じこもりがちな熟年者に対して町会の会館などでお茶のみや軽運動などを行う「地域ミニデイサービス」(1999年開始)なども実施・助成している。

③  介護予防・健康保持の機会づくり

上記のリズム運動や地域ミニデイサービスなどは、交流だけでなく介護予防としての意義も大きいが、江戸川区ではそのほかにも様々な介護予防や健康保持の取り組みを行っている。
家に閉じこもりがちな熟年者(65歳以上)の外出機会を増やすために、趣味・生きがい活動や会食などを通じて仲間との交流を深める「ふれあいホール」事業は、1985年から始まった。その後1999年に「ふれあいセンター事業」と改称され、現在は区内4箇所のセンターで、介護保険非該当の特定高齢者(身体虚弱者)を対象に、バスでの送迎サービスも提供しながら上記の活動や健康体操などの介護予防活動を行っている。
運動器機能に焦点を当てた事業としては、2006年より始まった「熟年いきいきトレーニング」がある。これは、65歳以上で運動器機能の低下が見られる特定高齢者が対象となっており、理学療法士など専門スタッフによる個別トレーニング計画に基づき、運動器の機能低下の予防・向上を図るため、ストレッチ・有酸素運動・簡易な器具を用いた運動を実施する。
熟年者(65歳以上)で介護保険非該当ではあるが、生活機能低下や老化のサインが見られる人に対しては、区で「シルバー健康教室」を開催している。これは1日あたり約2時間(参加費1日200円)で、運動・栄養改善・認知症予防・口腔ケアなどのプログラムを実施するものである。
さらに江戸川区では1978年より熟年者に「三療券」を提供している。これは熟年者の健康保持や疲労回復を図ることを目的としており、75歳以上の希望者には1人年間15枚の三療券(はり・灸・マッサージの無料利用券)を、65歳以上の希望者には1人年間10枚の三療割引券を支給している。 

4.     世代を超えた区民参加・生きがい施策

 ここまで紹介したのは、熟年者に特化した江戸川区の施策であるが、より幅広い年齢層を対象とした区の事業の中にも、元気高齢者の創出に貢献していると思われるものが多数ある。以下にその主な例を紹介する。
①  貢献する機会づくり
10003 前述したとおり、江戸川区は23区の中でも出生率が非常に高い地域であり、そこには江戸川区の様々な子育て・教育の施策も影響していると考えられる。そのような施策のひとつとして挙げられるのが、放課後等の小学校の教室・校庭・体育館などで児童が自らの意志で様々な活動を行い、創造性・自主性・社会性などを養う「すくすくスクール」である。活動内容としては、スポーツ・公園などでの自然体験・学習活動・文化芸術活動などが挙げられるが、特徴的なのは、熟年者を含めて地域住民が積極的にサポーター(ボランティア)としてこれらの活動に関わっているという点である。例えば大正琴を子どもたちに教え、「おばあちゃん」と親しまれる人もいれば、後述する江戸川総合人生大学で学んだことを生かし、子どもたちにフラワーアレンジメントを教えている人もいる。上の「私のまちの知恵袋」で紹介した、将棋や竹とんぼを教える熟年者は、この「すくすくスクール」で活躍している。
 また江戸川区は環境保全緑化運動にも力を入れている地域として名高い。かつては「雨が降れば水浸し」と言われた地域であったが、親水公園の設立や区をあげた緑化運動の展開などにより、住み易い環境づくりに取り組んでいる。その努力には、区民自身の積極的な活動も大きく貢献している。例えば江戸川区ホームページを見ると、公園ボランティアだけで105団体あり(2009年3月現在)、その内容は、親水公園を愛する会・実のなる木を育てる会・清掃活動・花の手入れなど多様である。環境分野以外にも、福祉・教育・文化・国際協力など様々な分野でボランティア団体が存在しており、熟年者を含めて区民が地域に貢献しやすい環境が窺える。
 町会や自治会などでも活躍する熟年者が多い。例えば地域の祭の運営や防犯・防災・子どもの交通安全運動、リサイクル運動、違法駐車や自転車放置防止活動など、区としての施策に加え、地域の自発的な取り組みに多くの熟年者が積極的に関わっている。区職員の方の話では、江戸川区民の多くが「自分の地域」を良くしたいと感じており、厳しい環境が区民自身による取り組みにつながっているのではないか、とのことである。

②  学習・生きがいの機会・場づくり

10004江戸川区では、2004年に江戸川総合人生大学を設立した。これは学校教育法上での大学ではないが、区民がこれまでの人生経験や知識を活かして社会貢献を行う後押しをするために創られた学びと実践の場である。北野大学長によると、この大学は勉強したことを社会に還元することを考える「実学」、つまり実際に役に立つ学問を目指しているとのことである。この大学は2学部4学科で編成されており、地域デザイン学部では、江戸川まちづくり学科と国際コミュニティ学科が、そして人生科学部では子ども支援学科と介護・福祉学科が設立されている。年齢制限がなく、幅広い年齢層がともに学び合う環境の中で、中高年も多数受講している。また卒業後も大学で学んだことを実際に地域貢献に結びつける人も多い。例えば介護・福祉学科の4期生仲間は「うきた芙蓉の会」を立ち上げ、ボランティアによる地域ミニデイサービス活動を展開しているほか、江戸川まちづくり学科の2期生仲間は「江戸川グリーン・グリーン」というボランティアグループを作り、公園などの手入れを中心とした活動を行っている。このように、学習から地域への貢献に結びつける役割を、大学が担っているといってよいだろう。
10005 江戸川区では、スポーツ分野でも世代を超えたイベント「さわやか体育祭」が1972年から実施されている。これは当初、各地域のくすのきクラブ(老人クラブ)の交流と熟年者の若返りを図るために始まったものであるが、その後「いきいき、はつらつ三世代」をテーマに、親・子・孫の三世代がともに交流する体育祭に発展した。2009年の体育祭には約8,000人が参加し、幼稚園や保育園児の演技や、大玉ころがし・玉入れなど様々な競技が行われた。 

5.     おわりに

 本レポートでの取材から、江戸川区では、就労・貢献・生きがい・学習・健康づくりなど、元気高齢者づくりに向けて多様な施策が展開されていることがわかった。高齢者施策というと、とかく介護や介護予防といった取り組みが注目されがちであるが、高齢者はケアを受けるだけの存在ではない。高齢者の大半を占める元気高齢者が、生き生きと幅広い範囲で活躍・活動できる場が、今後ますます重要となっていくと考えられる。熟年者の知識や経験を就労やボランティアとして活用できる場づくり、学びから地域貢献に結びつく環境づくり、ダンスや趣味活動のように楽しみながら健康や仲間作りをできる活動の展開、学校・浴場といった日常生活に密接に関わる場の活用、自分たちの地域を自らの手で良くする町会や自治会など地域の取り組み、そして世代を超えて活動できる場づくりなど、上記の例から江戸川区の多くの工夫と努力が窺える。
 江戸川区の近現代史を見ると、半世紀前までは土地の7割が0メートル地域で、常に長靴が欠かせない不衛生な所だった。その環境を行政は区民との協働で整備し、それと共に、子育て・高齢者福祉・教育・健康づくりなどを、住民ニーズに呼応して構築してきた。
 地域社会にはそれぞれの特性があり、江戸川区の事例をそのまま取り入れるにはそぐわないケースもあるだろう。しかし、高齢者も持てる力を活かしながら地域で活躍できる場づくりを、それぞれの地域特性を活かしながら行う際に、江戸川区の多様な事例がきっと参考になると思われる。江戸川区のモットーは「地域力は人にあり」である。
 

2010年3月

エイジング総合研究センター 研究員

山田嘉子

<参考文献>

江戸川区(2001)「理想のまちづくり半世紀の航跡:江戸川区政50年史」江戸川区。

江戸川区(2008)「平成20年度江戸川区民世論調査」江戸川区。

江戸川区(2009)「江戸川区の熟年者福祉:いきいきとした生活のための健康・福祉の社会づくり」パワーポイントスライド。

江戸川区福祉部(2009)「主要事務事業説明書」江戸川区。

東京都生活文化スポーツ局(2008)「都民生活に関する世論調査」東京都。

 

<参考インターネット>

江戸川区熟年人材センター:http://www.sjc.ne.jp/edogawa/index.htm

江戸川区ホームページ:http://www.city.edogawa.tokyo.jp/index.html

江戸川総合人生大学:http://www.sougou-jinsei-daigaku.net/

全国シルバー人材センター事業協会:http://www.zsjc.or.jp/rhx/index.jsp

東京都統計ホームページ:http://www.toukei.metro.tokyo.jp/